電磁ステンレス

特長

高い磁性を保持しながら被削性に優れた電磁ステンレス

電磁バルブをはじめとする各種リレー機構の鉄心用として、耐食性の良い磁性材料が要求されています。鉄心材料は電磁純鉄、けい素鉄などにメッキを施して使用していますが、使用環境の悪化や使用途中でのメッキの剥離、摩擦などによるトラブルを防ぐため電磁ステンレスが注目されています。

大同特殊鋼では、極低炭素のクロム系ステンレス鋼をベースに成分調整を行って高い磁性を保持するとともに、快削純鉄の経験を活かして、被削性の優れた電磁ステンレスも製造しています。当社の製造する電磁ステンレスには13%クロムと18%クロムのものがあり、18%クロムは電磁気特性、折曲げ絞り性が優れています。

化学成分

(%)
種類 記号 用途 C Si Mn P S Cr Al Pb
13%クロム電磁ステンレス MER1F 快削 ≦0.03 0.9 ≦0.4 ≦0.03 ≦0.03 13.5 0.25 0.2
MER1A 冷鍛 ≦0.03 ≦0.1 ≦0.4 ≦0.03 ≦0.03 13.5 0.6 0.1
18%クロム電磁ステンレス MER2F 耐食 ≦0.03 0.9 ≦0.4 ≦0.03 ≦0.03 17.5 0.25 0.2

電磁気特性

記号 磁束密度
B(T)
保磁力
Hc(A/m)
体積抵抗率
ρ(μΩ・m)
磁界の強さ
H(A/m)
160 240 400 2000
MER1F ≧0.50 ≧0.80 ≧1.00 ≧1.30 ≧143 0.63〜0.73
MER1A ≧0.50 ≧0.80 ≧1.00 ≧1.30 ≧143 0.63〜0.73
MER2F ≧0.52 ≧0.90 ≧1.00 ≧1.15 ≧119 0.67〜0.77

磁気特性は加工後適当な磁気焼なまし(850~900℃×1h以上徐冷)を施した試験片によるものです。

被削性

グラフ:工具寿命試験結果

耐食性

MER1Fは通常の屋内で使用される機器、部品にメッキなどの表面処理を施すことなく使用してもさびを生じません。

MER2Fは直接雨水に露出しなければ、屋外で使用される機器部品にメッキなどの表面処理を施すことなく使用しても、ほとんどさびを生じません。

機械的性質

記号 0.2%耐力
(N/mm2)
引張強さ
(N/mm2)
伸び
(%)
絞り
(%)
硬さ 備考
MER1F 265 431 40 70 HB143 焼なまし棒
MER2F 519 25 HV171 冷延帯

用途例

その他の軟磁性材料

軟磁性材料に関するお問い合わせ

TEL:052-308-3948