カーボンニュートラルが求められる社会情勢の中で、工業炉の省エネ化によるCO2排出量の削減は急務の状況です。当社はこうしたニーズに対応すべく、優れた環境負荷低減機能を搭載するプレミアムSTC炉(第2世代)を2022年1月に販売開始しました。
同設備は従来型のSTC炉と比較して、燃焼ガスの使用量を約15%、窒素ガス使用量を約30%削減でき、CO2排出量は約11%削減できます。2023年2月現在、国内外で7基受注しており、このほど宮崎精鋼株式会社に納入した実機1号機が稼働を開始しています。
また、当社は新設だけでなく、既設炉を改造することでプレミアムSTC炉(第2世代)の各種機能を搭載できるレトロフィット提案も推進しています。
STCシリーズは、現在まで国内外で350基以上を販売しており、納入から20年以上の設備が約120基、納入から10年以上のものが約150基稼働しています。
レトロフィットでは個々のお客様のニーズに合わせた機能を選択して付けることができ(表1)、既存炉の周辺設備を流用した更新が可能で、足元では池内精工株式会社をはじめ10件以上受注しています。当社は今後、新設での提案とともに、レトロフィット改造についても、国内外のSTC炉ユーザーに提案していく予定です。
さらに、現在当社では水素バーナの開発を進めており、2026年中期計画内を目途に販売リリースを目指しています。
大同特殊鋼は、今後もプレミアムSTC炉(第2世代)や水素バーナに代表される新しい機能を備えた設備を展開することで、自社におけるカーボンニュートラルを推進するだけでなく、特殊鋼熱処理ユーザー全体の2排出量削減に貢献していきます。
表1:型式別 搭載機能一覧
精密炉圧 制御機能 |
完全非水冷 炉殻 |
DINCS® | NOX バスターTM |
常時バーナ 排ガス監視 |
新計装 システム |
建屋内 タブレット監視 |
ネットワーク 監視 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
プレミアム STC炉 (第2世代) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
プレミアム STC炉 (第1世代) |
× | × | ○ | × | × | × | × | × |
従来型STC炉 | × | × | × | × | × | × | × | × |
〇:標準搭載 ×:オプション搭載可
- レトロフィットでは既設のプレミアムSTC炉(第1世代)および従来型STC炉にプレミアムSTC炉(第2世代)の機能[表中赤枠]を搭載可能
以 上