みなさん、入社おめでとうございます。
本日、ここに86名の新入社員のみなさんを迎えることができたことは、当社にとって大きな喜びであり、心から歓迎いたします。また、社会人としてのスタートを切るにあたり、ご家族をはじめ、これまでみなさんを支えてこられた方々に、ぜひ感謝していただきたいと思います。
私からの挨拶の前に、まず、本年元日に発生した能登半島地震によりお亡くなりになられた方にお悔みを申し上げるとともに、被災されたすべての方に心よりお見舞い申し上げます。
さて、新型コロナウイルスが世に出てからすでに4年の月日が経ちました。5類感染症へ移行したとはいえ、みなさんは「with コロナ」の中で学校生活を過ごされ、大変なご苦労をしてこられたことと思います。ただ、それは大きな時代の変化の中で、その変化に順応しながら過ごしてこられたともいえます。
この数年、コロナ以外にも、世界ではさまざまな変化が起こっています。ウクライナ侵攻やパレスチナ問題、米中対立などの地政学的リスクも高まっており、世界は不安定かつ不透明な状況が続いています。また、近年では企業においても利益追求だけではなく、CO2削減など、持続可能な社会への取り組みが重要なテーマとなっています。このように、世の中は大きく変化しており、我々もその変化に応えていかなければなりません。当社は100年を超える歴史を持つ企業ですが、このような変化を常にチャンスと捉え、挑戦を続け、そして今があります。新入社員のみなさんには、変化の中で挑戦し、未来を切り拓く力をぜひ身に付けていただくとともに、新しい時代を作り上げていっていただきたいと思います。
しかし、今の時点では、期待の一方で不安も感じていることでしょう。まずは大同特殊鋼グループの経営理念、行動指針を共有し、これからの道しるべとしてください。
まず、大同特殊鋼グループの経営理念は「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」です。当社は、高い技術力をもって高付加価値な特殊鋼という素材製品を世に送り出しています。特殊鋼は自動車や航空機、IT産業など幅広い分野で使用され、目に見えないところで人々の生活や社会を根底から支える必要不可欠な素材です。これから、自動車の電動化をはじめ社会が変化しても、特殊鋼が社会基盤を支える素材であることに変わりはありません。また、当社は特殊鋼以外の素材も開発し、社会への供給を拡大しています。当社は、今後も「新しい商材の実用化」「新しい事業の立ち上げ」をこれまで以上に加速していきます。みなさんも我々とともに、素材の更なる可能性を引き出し、人と社会のより良い未来を作っていきましょう。
次に、大同特殊鋼の行動指針を共有します。今からお伝えする5つの行動指針は、先輩達の行動様式を集約したものであり、みなさんに大同パーソンとしての在り方を示してくれます。
まず1つ目は、「高い志を持つ」です。
仕事の成果や自身の成長は、何をめざすかで変わります。常に向上心を持ち、前向きに取り組むことで、より大きく成長していくことができます。達成したら喜びをかみしめつつ、高い志を持って更なる高みをめざしていくことを期待します。
2つ目は「誠実に行動する」です。
人間関係でもそうですが、信頼というものは小さな積み重ねで得ていくものです。しかし、いとも簡単に失ってしまうものでもあります。当社は取引先や地域社会、従業員のみなさんと常に誠実に向き合い、時には自らの襟を正してきました。そして現在、大同特殊鋼という看板は、取引先や社会からも信頼していただけるものとなっています。みなさんも、仕事と関係する人々に対して真摯に向き合い、誠実に行動していくことを常に心掛けてください。
3つ目は「自ら成長する」です。
常に自らの成長を意識して仕事に取り組み、進んで経験を重ね、ご自分を磨いてください。最初は、目の前の仕事で精一杯になってしまうかもしれません。しかし、それも将来、大きな仕事をするための礎となるでしょう。少しずつでもいいので着実に前へ進み、知識や知恵を兼ね備えた人材へと成長してくれることを期待します。
4つ目は「チームの力を活かす」です。
仕事というものは、一人で完結するものではありません。みなさんも職場においてはチームの一員として仕事をしていくことになります。一人では解決できない問題でも、チームで支え合い、みんなで乗り越え成果を生み出していけます。仕事をする際、「チーム」ということを忘れず、一人で抱え込まず協力し合って取り組んでいってください。
最後の5つ目は「挑戦しつづける」です。
当社の歴史を振り返っても、失敗を恐れず困難に立ち向かってきたからこそ、今日があります。みなさんも、失敗を恐れずに「やってやるぞ」という気持ちで挑戦してください。変化をいとわず、常に新しいことに挑戦し、ご自身の可能性を拡げていってください。
最後に、ここまでお伝えしてきたことを実践するにあたり、大事な「お願い」があります。それは、「健康」、そして「安全」を何よりも大切にしていただきたい、ということです。当然のように聞こえるかも知れませんが、まず心と体が健康でなければ、しっかりとした仕事ができませんし、充実した人生を送ることはできません。また、「安全」は与えられるものではなく、みんなの努力で創り上げていくものであり、製造業である当社にとって生産活動を行ううえで最も優先されることです。この先のすばらしい人生のためにも、「健康」と「安全」を何よりも大切にしてください。
冒頭でもお伝えしたように、現在は大きな変化の真っただ中にあり、あらためてみなさんには変化をチャンスにできる人材へ成長していただきたいと思います。そして、大同特殊鋼グループのスローガンである「Beyond the Special」、すなわち「特殊を超える価値」へのチャレンジを続け、ともに人と社会の未来を支え続けていきましょう。
大同特殊鋼株式会社
代表取締役社長 清水 哲也