新年明けましておめでとうございます。
新しい生活様式での年越しも3回目となりましたが、こうしてみなさんと新年を迎えられたことに、改めて喜びを感じます。
昨年は、第8波まで広がった新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻、急激な円安や世界的な物価上昇など、我々を取り巻く環境は大きく変化しました。
年頭にあたり、当社の現状と我々の進むべき方向について、私の考えをみなさんにお伝えします。
昨年は、カーボン・ニュートラル、CASEといった中長期的な課題が一層明確になる一方で、資源・エネルギー価格の値上がりなど、我々を取り巻くさまざまなニュースがメディアに取り上げられ、ネガティブな気持ちになっている人もいるかもしれません。しかし、私はポジティブに捉えています。
当社は2021年6月に『2023中期経営計画』を発表し、「成長分野のビジネス拡大」「事業体質の強靭化」「海外展開拡大」「ESG経営」の 4つを行動方針として掲げました。
これらの計画は、みなさんのおかげで滞りなく実行されており、心から感謝いたします。
一つ目の「成長分野のビジネス拡大」については、「モーター用の特殊配向磁石」「リチウムイオンバッテリー負極材」「半導体製造装置向けステンレス鋼」の開発・生産体制の整備を着々と進めています。また、脱炭素社会の実現に貢献するエンジニアリング事業も、大幅な事業拡大が期待できるようになってきました。
二つ目の「事業体質の強靭化」については、「適正マージンの確保」「生産効率の改善」「不採算事業の再構築」を進めています。今後、更なる資源コストの上昇や、需要・生産数量の急激な変化があっても、当社が一定水準の利益を確保できるよう 筋肉質な事業体質にしていく必要があります。そのためには、新たなチャレンジに加えて、みなさん一人ひとりの「生産性向上」「歩留改善」「省力」といった地道な活動が軸足となります。
三つ目の「海外展開拡大」については、コロナ禍で海外との交流が停滞する中ではありましたが、円安環境下を活かし自由鍛造品の海外展開を加速させています。エネルギー関連や環境対応などの輸出品の需要が堅調なため、需要を取り逃さないように渋川工場はフル生産を継続しています。
そして、四つ目の「ESG経営」では、持続可能な経営に向けた CO2削減プロジェクトが軌道に乗り、統合レポートの発行や、ESG説明会の開催など 対外的にも積極的に当社の取り組みを発信しています。また、働き方改革が進み、在宅勤務やリモートでの会議・商談が普及しました。
特殊鋼は必ず世の中に必要な素材であり続けます。社会の変革を新たなチャンスと捉え、我々一人ひとりの一歩が社会を支えているという誇りを持ち、恐れずに挑戦を続けていかなければなりません。その大前提となるのは、「安全と健康」「リスクマネジメントとコンプライアンス」に対する我々の姿勢です。
安全面では、昨年の災害件数は ここ数年に比べて良好な成績であり、みなさんの安全に対する日々の努力を強く実感します。昨年から当社は、新たに「安全伝道師活動」と「リスクアセスメント推進3年計画」二つの取り組みを開始しました。焦らずしっかりと、これらの活動を定着させ、今年は深化させていきましょう。
次に、健康面では、新型コロナウイルスの感染予防を、引き続き徹底してください。ウイルスの蔓延から早3年が経ち、気も緩みがちになりますが、「自分は大丈夫」という油断は禁物です。
日々の生活の中で健康づくりに取り組み、職場全体でも健康を意識した生活を送りましょう。
リスクマネジメント、コンプライアンスは事業運営の大前提であり、これらが不十分では、土俵に上がることもできません。そして、大同特殊鋼グループのリスクマネジメント、コンプライアンスは、みなさんが支えていることを強く認識し、「考動」してください。
最後に、2023中期経営計画の最終年でもある本年を、大同特殊鋼とみなさんの飛躍の一年とすべく、2030年の当社のあるべき姿『高機能材料を極め、「グリーン社会の実現」に貢献する』を常に描きながら、ともに進んでいきましょう。
ご健康で ご安全に!
代表取締役社長 石黒武