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社長年頭挨拶

新年明けましておめでとうございます。
みなさんと新年を迎えることに、改めて喜びを感じます。新型コロナウイルス感染が完全に収束しておらず、昨年同様、里帰りや年末年始の旅行を取り止めたり、初詣や新年会を控えたりされた方もおられるのではないでしょうか。また、Webなどのツールを活用して遠方の家族や友人とコミュニケーションを図った方もいらっしゃることでしょう。新年の過ごし方にも、昨年以上に新しい生活様式が浸透してきたのではないかと感じています。

年頭にあたり、次の3つのことを、みなさんにお願いします。

一.安全と健康

まず、安全面は2018年から2020年までの社内における災害多発を受けて、今まで築きあげてきた当社の安全文化が崩壊の危機に直面していると重く捉え、2021年は安全管理の基礎固めに重点を置いて活動を展開しました。
しかし、残念ながら昨年は重大災害を発生させてしまい、誠に痛恨の極みです。災害発生件数も10件にのぼり、災害の連鎖に歯止めが掛からない状況であり、各工場長の安全に対する強い意志・緊張感が、現場最前線にまで伝わっていないのではないかと大変危惧しています。
近年の災害の傾向を見ると、次の2点が明確となっています。

 ・現場第一線の若返りと共に安全感性が低下していること
 ・ハード改善が遅れ、経験頼みのリスク回避となっていること

これらを受け、2022年は「職場内の安全教育体制の再構築」「自職場の危険源を理解させる安全教育」「リスク抽出を行う体制づくり」を安全活動方針に掲げ、教育とハード対策を基軸とした原理原則の立て直しに取り組みます。
グループの理念である「安全を全てに優先する」を念頭に、全員参加でより強固な「安全と健康の大同特殊鋼グループ」を構築していきましょう。
健康面では、新型コロナウイルス感染予防を変わらず徹底してください。日本国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にありますが、海外においては感染拡大によるロックダウンの実行や新たな変異株が確認されています。緊急事態宣言の発令と解除の繰り返しにより気も緩みがちになりますが、決して「自分は大丈夫」と思わず、今一度気を引き締めて国・地方行政、そして当社のガイドラインを順守してください。当社は引き続き在宅勤務、時差出勤、Web会議等の感染予防も含めた働き方改革を推進していきます。
自ら実行できる防衛手段として有効活用し、感染予防に努めてください。

二.2023中期経営計画の実践

昨年6月に大同特殊鋼グループの『2023中期経営計画』を発表し、次の4つを行動方針に掲げ、新たな成長戦略をスタートしました。

1.成長分野のビジネス拡大
  CASE、半導体関連製品、グリーンエネルギー分野等重点成長商品に注力
2.事業体質の強靭化
  既存事業のプレゼンスを拡大し、外部環境変化への耐性を強化
3.海外展開拡大
  東アジア市場を中心に高機能ステンレス鋼、高合金、工具鋼といった高機能材を拡大
4.ESG経営
 持続可能な経営に向けたCO2排出量削減、ガバナンス強化

この2年におよぶ新型コロナウイルスの感染拡大は、サプライチェーンの寸断を引き起こし、産業のコメとも呼ばれる半導体も「需要の急拡大」と「供給体制のひっ迫」により不足が継続しています。当社の主要需要先である自動車メーカーも例外ではなく生産調整を余儀なくされていますが、依然、半導体不足の完全解消の兆しは見えていません。加えて、鉄スクラップを中心とした原材料価格は上昇、高止まり継続が想定され、当社の収益圧迫の主な要因となっています。
地球温暖化対策の一つとして、自動車電動化の更なる加速など、今後も、事業環境は常に変化しますが、例えばカーボンニュートラルの実現やデジタルトランスフォーメーションの拡大、働き方の多様化など社会の潮流は、長期トレンドで見れば大きく変化しません。
自動車の電動化や半導体関連、グリーンエネルギー分野など成長産業では、高機能磁石・機能性粉末・高機能ステンレス鋼・高合金といった当社の強みを生かした商品をお客様との対話で深化させ、需要をしっかりと捕捉していきましょう。
さらには、原材料や諸資材の調達価格上昇や一時的な需要減少など、事業環境が悪化した場合でも一定水準の利益が確保できる筋肉質な事業体質への改善が必要です。再生産可能な価格レベルの確保、徹底的なコストダウン、生産性向上、不採算事業の立て直しなど事業基盤の強化を図っていきましょう。
また、高齢化など構造的要因により国内需要は漸減していくことが想定され、他社と差別化を図り、海外需要を捕捉・拡大することも重要なテーマです。
カーボンニュートラルの社会実現をめざし、当社もCO2排出量削減を推進していかなければなりません。環境負荷軽減への取り組みが、企業存続の必要条件として位置づけられています。省エネや生産性向上といったCO2排出量削減に貢献する施策を積極的に検討、実行していきましょう。
足元の事業環境変化に対しては柔軟な対応、長期的な事業成長へは先見性を持った行動が肝要です。社員一人ひとりが2023中期経営計画の行動方針を念頭に、変化を恐れることなく進んで行動し、ステークホルダーの皆様からより一層認められる企業へとさらに発展していきましょう。

三.事業発展のためのリスクマネジメントとコンプライアンスの実践

現代は、「VUCA(ブーカ)の時代」と言われています。実際に、国際情勢、天災、環境問題、法令改正、働き方改革等、当社の事業環境も目まぐるしく変化しています。そして、これらの環境変化は新たな「リスク(不確実性)」を生むと共に法令順守の徹底が求められます。 我々は、これらに適切に対処していかなければ生き抜いていけません。そのためには、みなさん一人ひとりが高い意識を持って「考動」することが求められることを強く認識してください。みなさんの「考動」の成果が「当社のSDGsへの取り組み」として数多くのステークホルダーからの評価に繋がります。
2022年度は2023中期経営計画の2年度目となります。2030年の当社のあるべき姿『高機能材料を極め、「グリーン社会の実現」に貢献する』を常に描きながら、先に述べたような課題に着実に取り組み、且つ確実に解決しながら、持続的な成長をめざしていきましょう。
大同特殊鋼グループの経営理念『素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます』を胸に刻んで、グループスローガンである
Beyond the Special”の下、一人ひとりが自ら積極的に考え行動してください。
大同特殊鋼の行動指針である『高い志を持つ、誠実に行動する、自ら成長する、チームの力を生かす、挑戦しつづける』を実行し、今年も一年、共に頑張っていきましょう。

ご健康で ご安全に!

代表取締役社長執行役員 石黒 武

※先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態