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社長年頭挨拶

新年明けましておめでとうございます。
みなさんと新年を迎えることに、改めて喜びを感じます。新型コロナウイルス感染拡大の中、今までとは違った新年の迎え方をされた方も多いのではないでしょうか。里帰りや年末年始の旅行を取り止めた方、また、初詣や新年会を控えられた方もおられたのではないかと思います。一方、Webなどのツールを活用して遠方の家族や友人とコミュニケーションを図った方もいらっしゃることでしょう。新年の過ごし方にも、新しい生活様式が少しずつ浸透していくのではないかと感じています。

年頭にあたり、次の4つのことを、みなさんにお願いします。

一 健康と安全

まず、健康についてお願いしたいことは、新型コロナウイルス感染予防をしっかり継続してほしいということです。みなさんの健康あっての会社であり、みなさんの健康あっての事業活動です。長期間にわたる行動制限によって気も緩みがちになるかもしれませんが、決して「自分は大丈夫」と思わず、今一度気を引き締めて、国・地方行政、そして当社のガイドラインを順守し、感染予防を徹底してください。
また、当社においても感染防止に向けて在宅勤務やWeb会議活用を拡大しています。急な変化により戸惑いも生じるかと思いますが、過去の慣習にとらわれることなく物事を柔軟に考え、既存業務の見直し・刷新を図り、感染予防にも繋がる活動を実践していきましょう。
安全については、昨年の大同特殊鋼グループの安全成績を振り返ると、「全社安全工場長会議」を初めて開催し、各事業場トップ自らの言葉で強いメッセージを発信しましたが、未だ災害をなくすことはできず、依然深刻な状況が続いていると認識しています。
昨年の災害の傾向を見ると、基本ルールである「安全行動3原則」が守られていない災害が多く発生しており、「危険を危険と感じる感性」が、まだまだ浸透していないことを痛感しています。
今年は、引き続き「安全感性の向上」「職場規律の向上」を推進するとともに、一人作業禁止3原則である「止める・呼ぶ・待つ」を定着させ、安全管理の基礎固めをしていきます。
グループの基本方針である「安全を全てに優先する」「安全と健康は幸せの原点」を念頭に、全員参加でより強固な「安全と健康の大同特殊鋼グループ」を構築していきましょう。

二 変化する状況への柔軟な対応

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済にも大きな影響を及ぼし、昨年の世界のGDPは大幅なマイナス成長となりました。当社も受注環境が悪化し、上半期はリーマンショック以来の営業赤字という大変厳しい状況に陥りました。
中国、米国をはじめとした自動車販売の復調により、足元の生産量は全体としては少し回復してきてはいるものの、今なお新型コロナウイルス感染症の収束は見えないこと、またスクラップなどの原材料価格動向など、先行きの環境は不透明です。お客様そして当社の事業環境が短期間で大きく変化する可能性もあり、変化をしっかり捉え、機敏な行動を取るよう心掛けてください。

三 長期ビジョンに基づいた成長戦略の立案と実行

いまだ猛威を振るう新型コロナウイルスであっても、ワクチンの開発などにより、いずれ一定の収束を迎える、いわゆる『ポストコロナ』の時が必ずやってきますが、働き方改革を含めた生活様式の変化は、少なからず継続すると思います。また、CASE、IoT、5Gといったトレンドは、『ポストコロナ』でも変わることはありません。特に、自動車の電動化は環境規制の観点から想定より前倒しで進展すると考えられ、当社の主力事業である特殊鋼鋼材の需要減少は容易に想像できます。「まだ大丈夫」ではなく、変化を先取りする気持ちで、生き残るための競争力強化に取り組むことが重要です。
具体的には、安定品質・高信頼性のある特殊鋼のコスト削減も含めた稼ぐ力の強化、磁石・機能性粉末・高機能ステンレス鋼・高合金といった成長事業を中心としたグループ全体における事業ポートフォリオの組み換え、人材の多様化やデジタルトランスフォーメーション推進といった新しい働き方改革、財務規律強化などの経営改革推進です。中・長期にわたってお客様そして社会から求められ続けるために、メリハリを持った成長戦略を描き、実行していきましょう。
さらに、世界で脱炭素の動きが加速するなど、環境負荷軽減への取り組みが、企業存続の必要条件として位置づけられるようになってきています。当社は2050年に向けた長期戦略的目標と行動計画の策定を目的に、全社プロジェクトとしてCO2削減プロジェクトを昨年11月に発足しました。『継続的省エネ技術開発』『再生可能エネルギーの積極活用』『CO2フリー水素の有効活用』といった課題に取り組み、CO2排出量削減に挑戦していきます。

四 リスクマネジメントとコンプライアンスの更なる強化と定着

世の中の企業を見る目は厳しくなってきており、企業が会計や品質の不祥事により信用を失墜させるケースが後を絶ちません。我々も、企業価値を高め、社会に貢献していかなければなりません。また、変化するリスクに対処することは、容易ではありませんが、手を抜くことはできません。新型コロナウイルス感染症やハラスメント等、新たなリスクに対しても真摯に取り組んでいきます。みなさんもリスクマネジメント、コンプライアンス、社会貢献に対する意識をより一層高め、行動してください。
 
本年4月からは、2023中期経営計画の初年度に入ります。2030年の当社のあるべき姿を想像し、先に述べたような課題に着実に取り組み、かつ確実に解決しながら、持続的な成長をめざしていきましょう。
大同特殊鋼グループの経営理念『素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます』を胸に刻んで、グループスローガンである“Beyond the
Special”の下、一人ひとりが自ら積極的に考え行動していきましょう。

大同特殊鋼の行動指針である『高い志を持つ、誠実に行動する、自ら成長する、チームの力を生かす、挑戦しつづける』を実行し、今年も一年、共に頑張っていきましょう。

ご健康で ご安全に!

代表取締役社長執行役員 石黒 武