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5Gアンテナや高度化する電子デバイスの難密着プリント基板に適したターゲット材を開発
〜密着性と配線形成のしやすさを両立し基板製造工程の簡略化を実現〜

大同特殊鋼株式会社(社長:清水哲也)は、高密着性とエッチング※1性に優れた難密着基板用ターゲット材※2を開発しました。本開発材は2025年1月22日から24日に東京ビッグサイトで開催される「オートモーティブワールド2025」に出展します。
本製品を用いてスパッタリング法※3で成膜した膜は、難密着基板であるポリイミド樹脂に対して高い密着性を示します。また、この密着膜は配線の形成がしやすいため、5Gアンテナや電子デバイスの量産工程の早期立ち上げに貢献できます。
密着性と配線形成のしやすさを両立したターゲット材を新たにラインナップすることで、今後の需要拡大が見込まれる5G アンテナやインターポーザ※4などに使われる微細配線基板※5の分野において、難密着基板用ターゲット材の受注拡大を目指し、高度化する電子デバイスの普及拡大に貢献していきます。

難密着基板用ターゲット外観

難密着基板用ターゲット外観

1.背景

近年、AIやビッグデータなどの情報処理に関する多くのシステムや、自動運転、IoT、5Gなどの新しい技術の普及により、膨大なデータを迅速に処理することが求められています。この要求に応えるため、高性能かつ低消費電力の電子デバイスの需要が高まっています。
5Gのような高周波の伝送においては、信号の劣化を防ぐために、伝送経路を短縮させた微細配線が必要になります。さらに、伝送ロスを減らすために、ポリイミド樹脂などの低誘電基板の適用が進んでいますが(図1)、配線材料である銅は、基板との密着性が低く、断線のリスクが高いため密着膜が必要とされています。
これまで、密着膜には、一般的にチタン膜が使用されていましたが、チタン膜は、銅と同じエッチング液で配線が形成できないため、2回のエッチング工程が必要になります。そこで今回、難密着基板に対して密着性が高く、かつ一般的なエッチング液で銅配線と一括エッチングが可能な密着膜を開発しました。

2.特長

本開発材により成膜した膜は、以下の特長があります。
①高密着性:難密着基板であるポリイミド樹脂に対して高密着(図2)
②易エッチング性:銅エッチングに用いる一般的な塩化第二鉄でエッチングが可能なため、
 3層 密着層・シード銅層※6・めっき※7銅層の一括エッチングが可能(図3 、図4)
これらの特長により、5Gアンテナやインターポーザの製造工程を一部省略でき、量産工程の早期立ち上げに貢献できます(図5)。

図1.難密着基板および樹脂の誘電率と密着性の関係

図1.難密着基板および樹脂の誘電率と密着性の関係

図2.難密着基板との密着特性

図2.難密着基板との密着特性

図3.エッチング特性

図3.エッチング特性

図4.配線形成の工程

図4.配線形成の工程

図5.インターポーザ断面図

図5.インターポーザ断面図

3.用途

情報処理機器用半導体パッケージ基板・インターポーザ、5G ・ミリ波用アンテナ基板

用語説明

※1 エッチング 基板上に堆積した膜の一部を薬液で溶かして、配線を形成する技術
※2 ターゲット材 対象とする電子基板に、原子レベルで金属や合金、金属酸化物等などの物質を付着させ、薄い膜を形成するスパッタリング法に用いられる電子部材
※3 スパッタリング法 対象とする電子基板に、原子レベルで金属や合金、金属酸化物等などの物質を付着させ、薄い膜を形成するコーティング技術
※4 インターポーザ 複数の半導体チップと基板を電気的に接続する中継部材
※5 微細配線基板 電子機器に使用される高密度な配線パターンの基板。伝送経路を短くすることで、5Gなどの高周波の信号劣化を防ぐことができる。
※6 シード銅層 密着層の上に成膜する銅層で、銅めっきをしやすくするための層
※7 めっき 対象とする電子基板に、金属を化学的に付着させ、膜を形成するコーティング技術

以上