大同特殊鋼株式会社(社長:清水 哲也、本社:名古屋市東区)は、国土交通省が実施する下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)※1において令和5年度事業として採択された『汚泥の高付加価値化と低炭素社会に貢献する超高温炭化技術に関する実証研究』の実規模施設を気仙沼終末処理場内に建設し、3月19日にしゅん工式を行いました。当社は株式会社テツゲン(社長:佐藤 博恒、本社:東京都千代田区)、株式会社グリーンテック(社長:髙橋 徹、本社:栃木県鹿沼市)、学校法人中央大学(理事長:大村 雅彦、所在地:東京都八王子市)、および宮城県気仙沼市(事業管理者:気仙沼市長 菅原 茂)の5者からなる共同研究体に研究体代表者として参画しています。
本技術は、当社が開発した超高温炭化技術※2によって、生成される超高温炭化物の活性炭代替材としての活用を可能にする「高付加価値化」や、肥料・土壌改良材としての利用価値を高める「高品位・無害化」により、採算性向上を目指すとともに、システムの熱効率を高めることで温室効果ガス(GHG)の削減を図るものです。従来技術である高温炭化炉(約800℃)直後の排ガス処理室に、耐熱性に優れたセラミックキルン※3を設置し、超高温炭化(約1000℃)を実現しました。これにより、重金属等の有害物質含有量を激減させた、高品位な炭化物を得ることができます。
本研究は3か年での実施を予定しており、2年目となる令和6年度から実規模施設の運転を行い、得られる各種データを踏まえて、技術導入ガイドライン化および全国への普及展開を目指します。
当社は今後も、低炭素な素材・製品・サービスの提供を推し進め、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
実証技術の特徴
特徴1:超高温炭化(1000℃以上)
- 超高温に耐えうるセラミックキルン
- 燃料消費量が増加しない超高温炭化
特徴2:生成炭化物の高付加価値化、高品位・無害化
<高付加価値化>
- 比表面積増、硫化水素吸着性能向上により、活性炭代替材等への活用へ
- 高価な活性炭代替材等への活用により、下水汚泥処理に係るライフサイクルコスト(LCC)※4のさらなる低減に貢献
- 超高温炭化物の活性炭代替材利用により、活性炭製造に関わる温室効果ガス排出量を削減
<無害化>
- 塩素や重金属の濃度が高い汚泥の無害化
特徴3:熱効率に優れる炭化システム
廃熱回収最大化により
- 従来技術対比LCC 2割減
- 従来技術対比GHG 3割減
用語説明
*1
下水道革新的技術実証事業(B-DASH プロジェクト:Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project)とは、新技術の研究開発および実用化を加速することにより、下水道事業におけるコスト縮減や再生可能エネルギー創出等を実現し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援するために国土交通省が実施している実証事業
また下水道における革新的な技術について、国が主体となって、実規模レベルの施設を設置して技術的な検証を行い、ガイドラインを作成し、民間企業のノウハウや資金も活用しつつ、全国展開を図る実証事業
*2
汚泥炭化技術は汚泥処理リサイクル技術の一つで、汚泥を低酸素状態で蒸し焼きにし、炭にする技術。超高温炭化技術とは、従来技術として存在する高温炭化(およそ700~800℃)、中温炭化(およそ500~600℃)、低温炭化(400℃以下)にはない、1000℃以上の温度で炭化を行うことで、生成される超高温炭化製品の「高付加価値化」、「高品位・無害化」が得られる技術
*3
セラミックキルンは、金属元素と非金属元素を組み合わせた無機化合物を加熱処理し円筒状に焼き固めたセラミックス製のキルンで、高耐熱や高強度・高熱伝導の特性を有し、金属製キルンでは実現できない1000℃以上領域での、汚泥や炭化物の搬送を実現する
*4
ライフサイクルコスト(LCC= Life Cycle Cost)とは、設備のライフサイクルにわたって発生する費用で、建設費から燃料・電力費や運営・維持管理費を含む
以上
参考
『汚泥の高付加価値化と低炭素社会に貢献する超高温炭化技術に関する実証事業』が、令和5年度下水道革新的技術実証事業 (B-DASH プロジェクト)に採択 | プレスリリース | 企業情報 | 大同特殊鋼