大同特殊鋼株式会社(本社:名古屋市東区、社長:石黒 武、以下、「当社」)は、岐阜県中津川市にある市所有地を同市から譲り受けるべく、10月25日に同市と立地協定を締結しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
当社は同地に、磁石の研究開発ならびに次世代モータの研究に取り組む中津川研究所(仮称)を設立する計画で、開所は2020年5月を予定しています。
1.背景
当社グループは、特殊鋼鋼材の派生機能材料である磁石事業を永年にわたって手がけてきました。研究開発については当社の技術開発研究所(名古屋市南区)が、製造・販売については当社の完全子会社である株式会社ダイドー電子(本社:岐阜県中津川市、社長:野田 俊治、以下「ダイドー電子」)がそれぞれ担っております。
当社は現在展開中の「2020中期経営計画」において、機能材料への「ポートフォリオ改革」を掲げており、その柱のひとつとして、磁石事業の成長戦略を推進中です。2016年には、高耐熱性と高磁力を兼ね備えた重希土類完全フリー(不使用)のネオジム磁石を開発し、それを株式会社本田技術研究所と共同で、世界で初めてハイブリッド車用駆動モータに適用することに成功しました(*)。磁石とその応用技術のさらなる発展には、自動車産業界を中心とするお客様から大きな期待を集めております。
(*)本件で、本田技術研究所と当社は第7回ものづくり日本大賞経済産業大臣賞をはじめ、数々の賞を受賞
2.目的
当社が中津川研究所(以下、本研究所)の新設を計画するのは、磁石の研究・製造、モータの設計、モータの評価を一か所でマッチングさせることで、次世代の革新モータ技術とそれにふさわしい搭載磁石に関する産学連携の研究開発を推進するためです。そのために、当社は以下3点を実行し、研究開発体制を強化します。
- 磁石研究開発拠点の移転(第1期予算:6億円)
ダイドー電子が立地する中津川地区に本研究所を設立し、技術開発研究所の現機能の一部を本研究所に移転することにより、研究と製造を一体化し、磁石開発速度をアップさせます。 - 研究開発領域の拡張(第1期予算:5億円)
本研究所を新たに産学連携による次世代モータ研究拠点とし、革新的モータならびに磁石およびその応用技術によるトータルソリューションをお客様に提案します。 - 研究設備の充実(第1期予算:4億円)
磁石研究にかかる試験・評価設備を増強し、技術開発アウトプットを最大化します。
本研究所の産学連携拠点化が実現した場合、中部地区の自動車産業、ロボット産業および素材産業の発展に寄与します。革新モータと磁石などの基礎材料の双方に精通する先端技術者を育成する拠点となることに加え、将来的には高校等における技能実習も視野に入れ、若者の技能向上と地元定着支援を図り、若者に魅力あるまちづくりに貢献します。
3.要点
(1) 立地
中津川市が所有する旧高等技能専門校跡地(同市千旦林)を建物と共に同市から譲り受け、これらを活用して本研究所を設立する予定です。
同跡地は、JR美乃坂本駅から直線距離で約6百メートルに位置し、同駅近傍にリニア中央新幹線の新駅建設が予定されています。同新幹線開業後は、3大都市圏から本研究所まで約1時間、東京国際空港(羽田空港)および中部国際空港から約1時間半で結ばれ、国内のみならず海外のお客様にもアクセスがさらに容易になります。
(2) 工期
ただちに、土地・建物整備の設計、ユーティリティ仕様検討および導入設備の準備に着手し、市所有不動産譲受けの本契約締結(2020年1月予定)後にこれらの工事・据付を順次完工させ、2020年5月に本研究所を開所する予定です。
(3) 組織・人員
本研究所は、当社技術開発研究所の分所に位置づけます。所長の人事は、通常の人事異動のリリースと同様の方法により、開所日程に合わせてお知らせいたします。
人員は、第1期で計26名を予定しておりますが、上記のとおり若者に魅力ある拠点を形成し、将来的には
計40~50名への増員を計画しております。人員の多くは当社技術開発研究所在籍者を充当しますが、一部はダイドー電子からも参画する他、近傍での新規採用も図ります。
(4) 産学連携
名古屋工業大学(同市昭和区)元学長の松井信行名誉教授を技術顧問に迎え、モータ研究開発にご指導ご鞭撻いただく他、本研究開発に係る技術者の人材育成にお力添えいただく予定です。
また、大同大学(名古屋市南区)とは、本件を機にさらに連携を強化します。
(5) 運営
環境、衛生、公害防止および防災に十分配慮し、常に良好な状態を保持できるように維持管理し、周辺の住民の皆様および環境等に影響を及ぼさないように十分配慮してまいります。
以上