文字のサイズ

大同特殊鋼グループ 2020中期経営計画について

大同特殊鋼株式会社(社長:石黒 武)はこのたび、2020年度(2021年3月期)までの3年間を実行期間とする中期経営計画を策定いたしました。100年に1度の自動車産業の大変革とデジタル革命の進行の中で、機能性に優れた素材を提供することで、お客様の技術革新を支えてまいります。

1.経営基本方針

Beyond the Special
「機能性に優れた素材で、お客様の技術革新を支える」

世界中で持続可能な社会の実現に向けた取り組みが始まっています。その中で、お客様においても地球温暖化ガスの削減が大きなテーマとなっており、自動車の内燃機関や航空機のジェットエンジンの高効率化が求められています。

自動車産業ではさらに、電動化などのパワートレインの多様化や自動運転、コネクテッドカー化など、100年に1度の大きな技術革新が起きようとしています。また、ビッグデータ、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)を活かしたデジタル革命が進んでおり、いろいろな産業界に変革がもたらされようとしています。それにより、半導体需要の増加やロボットによる自動化等が進展すると見込まれます。

我々は、これらお客様の技術革新を、機能性に優れた素材を提供することで支えてまいります。例えば、内燃機関・ジェットエンジンの高効率化には高耐熱・高耐食ステンレス鋼や高合金を、自動車の電動化には高性能磁石や高機能粉末を、自動運転化には軟磁性材料等を提供してまいります。デジタル革命に対しても半導体製造装置に必要な高清浄ステンレス鋼や自動化・ロボット化に必要な高性能磁石等、お客様の必要とする高機能な素材を提供することで、その進化・技術革新をしっかりと支えてまいります。

2.行動方針

(1)ポートフォリオ改革(構造材料から機能材料へ)

成長機会の多い機能材料・磁性材料セグメントへ積極投資を実施し、売上高トップセグメント化を目指します。全社的製品ポートフォリオを改革し、利益の最大化を目指してまいります。

前述のとおり、今後は耐熱性、耐食性、高清浄度や磁気特性等の機能性に優れた素材へのニーズが高まる見込みです。ステンレス鋼、高合金、粉末といった機能材料や磁性材料の需要が継続的に伸びていくと想定しています。この動きを確実に捉え安定供給を果たすべく、生産能力の増強投資(ステンレス鋼連続鋳造ライン合理化、熱処理・冷間加工設備増強、再溶解設備増強、高級帯製造能力増強、粉末製造能力増強他)、ソリューション機能の強化を順次進めてまいります。また、長期的に大きな市場成長が見込まれる磁石事業については、研究開発体制の強化、海外拠点の新規立地検討等を進め、今後の成長に向けた準備を整えてまいります。

(2)事業基盤の強化(損益分岐点改善、経営体質強化)

長期継続的な成長を実現するため、事業基盤を強化してまいります。

事業全体の基盤である鋼材事業に関しては、諸資材価格の高騰に伴う販売価格の是正に対してお客様のご理解をいただけるよう努力していくとともに、徹底したコストダウンを行い、再生産可能な適正マージンを確保することを目指します。また、既存設備の能率向上、一貫歩留の向上、物流の整流化を進め、生産スループットの最大化を目指してまいります。持続可能な社会の実現に向け、環境投資も積極的に進めてまいります。事業基盤の根幹である人材に対しても働き方改革による生産性向上と人材育成の両立を目指してまいります。また、国際会計基準の導入に向けた準備プロジェクトの立ち上げ、本社部門の効率化等も進め、より強固な事業基盤構築を目指してまいります。株主還元につきましては、今中期期間の旺盛な投資を踏まえ、引き続き配当性向20~25%を目安としてまいります。

(3)事業の再構築

不採算事業についての見極めを行い、採算の取れる事業への再構築、あるいは事業継続可否判断を進めてまいります。選択と集中を進めることにより経営効率を上げ、中長期的に資本効率を高めてまいります。

3.ESGへの取り組み

コーポレート・ガバナンス強化の一環として、コンプライアンス活動の強化を目指し、本社にCRM部(コーポレートリスクマネジメント部)を新設しました。子会社も含め、大同特殊鋼グループ全体の監査及びリスク管理を強化する体制を構築してまいります。また、リスクマネジメント委員会に社外委員を設置し、客観的コンプライアンス評価体制を導入しております。

4.経営指標

(1)2020中期経営計画 経営目標

2017年度(実績) 2020年度(目標)
売上高 5,052億円 5,800億円
営業利益 362億円 470億円
当期純利益 239億円 300億円
ROS(売上高営業利益率) 7.2% 8%
ROA(総資産経常利益率) 5.9% 7%
ROE(株主資本当期利益率) 8.8% 9%
設備投資額(3年累計工事ベース) 877億円 950億円
配当性向 21.4% 20~25%

(2)セグメント別売上高・営業利益(中計最終年度比)

(億円)

2017年度(実績) 2020年度(目標) 前中期差
特殊鋼鋼材 売上高
営業利益
1,868
65
2,050
70
182
5
機能材料・磁性材料 売上高
営業利益
1,708
222
2,100
290
392
68
自動車部品・産業機械部品 売上高
営業利益
1,063
30
1,200
65
137
35
エンジニアリング 売上高
営業利益
249
18
280
20
31
2
流通・サービス 売上高
営業利益
164
27
170
25
6
-2
合計 売上高
営業利益
5,052
362
5,800
470
748
108

(3)売上高・営業利益

以 上