大同特殊鋼株式会社(社長:嶋尾正)は、優れた導電性と低反射率を併せ持つメタルメッシュ*¹用Cu合金ターゲット材を開発し、このほど販売を開始しました。タッチパネルの透明導電膜に一般的に使用されるITO*²のシート抵抗値が50~100 (Ω/□)であるのに対し、本製品は約0.2(Ω/□)と純Al並みの低抵抗化を実現しました。金属膜に見られる特有のギラツキを抑えるため、反射率はプロセスを追加することなく平均10~20%に抑えられ、さらにCu主体の金属とすることでエッチングによる細線化が容易です。また、本製品はインジウム等の希少金属を使用していないため、ITOと比べて低コストでタッチパネルの生産が可能です。なお、4月8日から10日にかけて東京ビッグサイトで開催される「高機能金属展」に、本製品を出展します。
*1 メタルメッシュ | タッチパネルの入力検出に用いる導電線の材料を従来のITO(indium tin oxide)から網目状の金属に置き換える技術 |
*2 ITO | 透明導電膜、酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム)(indium tin oxide)の略称 |
1. 背景
タッチパネルの透明導電膜には一般的にITOが使用されています。ITOは透明であり且つ導電性のある材料ですが、タッチパネルの大型化に伴い、より導電性の高い材料が求められてきました。当社は2013年にメタルメッシュ用のターゲット材の開発を開始し、2014年からサンプル品の市場投入を開始しました。現在、メタルメッシュ用の材料としては蒸着法によるCuメッシュやAgナノワイヤーなどが製品化されており、大型モニター付きの飲料自動販売機や大画面パソコン等のタッチパネルに採用されていますが、「専用の生産プロセスが必要」、「細線化が困難」といった課題が残っています。
2. 特徴
- 導電膜、配線(引出線)、黒化膜を一度に形成できるオールインワンターゲット材
- 優れた導電性と低反射率を併せ持つ
- 成膜時の反応ガス条件により反射率を10%まで抑えることが可能
- ガラス、PET樹脂など各種基板との密着性に優れている
- ITOと同じプロセス(スパッタリング法)で生産可能
3.用途
タッチパネル等