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交流電気炉操業支援システム 「E-adjust」発売
~ 電力原単位の低減、操業のスキルフリー化を実現 ~

大同特殊鋼株式会社(社長:嶋尾 正)は、交流電気炉操業のスキルフリー化に効果を発揮する交流電気炉操業支援システム「E-adjust」を2013年4月から発売します。

「E-adjust」は交流電気炉に装入した、原料である鉄スクラップの溶け落ち時期を、交流電気炉から発生する「高調波」と「炉内発生音」を自動解析し、オペレーターにガイダンスするシステムです。

当システム導入により、従来はオペレーターが各々の経験に基づいて判断していた鉄スクラップの溶け落ち時期を、定量的に判定することが可能となります。その結果、交流電気炉の均一な操業が可能となり、電力原単位のバラツキを低減できます。

また、経験の浅いオペレーターでも、熟練オペレーターと同等に溶け落ち時期を判断できるようになるため、オペレーターのスキルフリー化及び、余分な電力投入の抑制による電力原単位の低減が可能となります。

なお、既に2012年1月より共同開発を実施している合同製鐵株式会社殿(社長:栗川 勝俊)で実証テストを進めており、3kWh/トン~6kWh/トンの電力原単位の低減効果が確認されています。

1. 背 景

交流電気炉の操業は、予め設定した通電パターンを用いて行われていますが、鉄スクラップの追加装入の時期および、鉄スクラップが溶鋼になる時期の見極めは各々のオペレーターの経験に基づいて判断されていました。しかし、後継者不足の懸念から、鉄スクラップの溶け落ち時期を自動で判断するシステムの必要性が高まっています。また、昨今の電気料金の値上がりにより、電力多消費産業である電炉業界では電力原単位の低減が急務となっていました。

2. 特 長

商品名 E-adjust(Electric arc furnace – automatic dynamic judgment system of meltdown timing)

(1) 交流電気炉の「高調波」および「炉内発生音」を独自アルゴリズムを用いて計測・解析し、最適な鉄スクラップの溶け落ち時期を自動判定することで、電力原単位の低減、通電時間の短縮が可能となります。(特許出願中)
(2) 鉄スクラップの溶け落ちる時期を定量的に評価することにより、電気炉操業のスキルフリー化を推進します。
(3) 既設電気炉に簡単に取付け可能です。また、チューニングも容易なため、システムの早期立ち上げが可能です。
(4) 当社の電気炉制御システム「ARMS」と組合せることで、より一層の自動操業を実現します。

用語説明

高調波 交流電流や交流電圧のような周波数を持つ波動を、多数の周波数の異なる正弦波に分けた時、特に基本周波数(50Hz若しくは60Hz)の整数倍の周波数をもつ正弦波を指します。
電力原単位 製品1トンを生産するために使用した電力量を指します。
ARMS 当社の電気炉最適電力制御システム、Automatic Rapid Melting System。電気炉の投入電力制御、操業監視、データロギング等を一括して行うことのできるコンピュータシステム。電気炉操業の省力化に寄与します。
チャージ数 交流電気炉における操業単位。鉄スクラップの装入から出鋼(溶解した鉄スクラップの取り出し)までを1チャージと表現します。

電力原単位改善イメージ

E-adjustの導入により電力原単位のバラツキを減少させ、平均電力原単位を低減することが可能となります。

機器構成例

変流器 大電流を計測可能な電流信号へ変換する機器です。
マイク 交流電気炉から発生する音を計測する機器です。
データ通信 「ARMS」やパソコン等と接続ができ、判定結果や炉況信号等を通信にて授受することが可能です。
溶落判定信号 溶け落ちの判定結果をランプ等で表示してオペレーターに通知することが可能です。
スクラップ嵩設定信号 次に装入する鉄スクラップの嵩(かさ)に応じて、溶け落ちの判定を補正することが可能です。

以 上