大同特殊鋼株式会社(社長:小澤 正俊)の100%子会社である株式会社ダイドー電子(社長:野田 孝昭、本社:岐阜県中津川市)は、主力製品の一つであるNd-Fe-B(ネオジム-鉄-ボロン)ラジアル異方性リング磁石「NEOQUENCH-DR」において、世界最高磁気特性となる最大エネルギー積400kJ/m³(50MGOe)を達成する製造技術の開発に成功した。2006年3月からサンプル出荷を開始し、量産化を図る。今回開発した磁石は従来のリング磁石の磁気特性を大きく上回るため、当磁石を用いたモータの効率は大幅に向上する。当製品の投入により、リング磁石市場における「NEOQUENCH-DR」の優位性が明確となり、今後、モータ用途への採用拡大、新規用途の開拓を積極的に進める。
1.「NEOQUENCH-DR」の特長と開発の背景
これまでも「NEOQUENCH-DR」は最大エネルギー積240~360kJ/m3(30~45MGOe)と他製法のリング磁石と比較して高い磁気特性を誇り、耐熱性や耐食性、リング径や長尺化などの形状自由度、また、円周・軸方向の磁気特性の均一性にも優れていた。このような特性から着磁波形のコントロールが可能など、モータの低コギング化が容易であり、組付けも簡単であるため、コスト低減を実現する磁石として、半導体製造装置、各種産業ロボットなどのサーボモータ、電動パワーステアリング用モータなどに広く採用されてきた。
近年拡大する小型化・軽量化・省力化ニーズから「NEOQUENCH-DR」に対する需要が高まり、さらなる性能向上が求められていたため、磁気特性がより均一で且つ最大エネルギー積400kJ/m3(50MGOe)という他製法リング磁石では実現不可能であった磁気特性を世界で初めて実現した。
2.開発の内容
大同特殊鋼(株)技術開発研究所との共同研究により以下の改善を実施
(1) 原料組成の改善 磁気特性を向上するためにNd-Fe-Bの構成成分や配合比率を最適化
(2) プレス加工法の改善 磁気特性の均一性を損なわずに配向率を高める熱間押出し加工技術を確立
3.「NEOQUENCH-DR」 各製品の磁気特性表
4.今後の展開
サンプル出荷:2006年3月~
5.Nd-Fe-Bラジアル異方性リング磁石「NEOQUENCH-DR」の売上目標(ダイドー電子グループ)
2008年度 40億円(2004年度売上実績 約10億円)
*(株)ダイドー電子は1991年から日本で、また2005年からは中国でも製造・販売を開始
6.(株)ダイドー電子の概要
所在地 | 岐阜県中津川市茄子川1642-144 |
代表者 | 野田 孝昭 |
設立 | 1990年1月 |
主な事業 | 磁性材料および電気・電子機器部品の製造・加工・販売 ・ネオジムボンド磁石、Sm-Fe-N(サマリウム-鉄-窒素)系ボンド磁石 ・ネオジムボンド磁石では、世界シェアNo.1 ・ハードディスクドライブスピンドルモータ用磁石で、世界シェアNo.1(50%超) ・熱間加工ネオジム系ラジアル異方性リング磁石 |
従業員数 | 125名 |
資本金 | 14億9千万円(大同特殊鋼100%出資) |
売上高 | 64億5千万円(2005年3月期) |
海外展開 | 1994年 ダイドーエレクトロニクス(タイランド)設立 … ネオジムボンド磁石 |
2002年 大同電子(香港)有限公司設立 … ネオジムボンド磁石 | |
2003年 大同電工(蘇州)有限公司設立 … ラジアル異方性リング磁石 |
以 上
参考資料
【用語解説】
ネオジム磁石/ラジアルリング磁石/最大エネルギー積/異方性/磁気特性の均一性/着磁波形/コギング(PDF:39KB)