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サブミクロン領域の分析が可能な新分析装置を民間企業で初導入
~ ナノテク分野、新機能材開発支援サービスを開始 ~

大同特殊鋼株式会社(社長:小澤 正俊)の連結子会社で分析・調査会社である株式会社大同分析リサーチ(社長:山田 文雄、本社:名古屋市南区)は最新鋭の日本電子株式会社殿(社長:原田 嘉晏、本社:東京都昭島市)製 電界放出型電子プローブマイクロアナライザ型式:JXA-8500F(通称:FE-EPMA)を民間企業として初めて導入し、IT化が進む自動車産業やナノテク産業等に対し、極微小領域分析等の支援サービスを開始した。

IT産業やナノテク産業では新機能発現のためにサブミクロンサイズ(0.1~1μm)で金属組織を制御することが重要になってきているが、従来の熱電子放出型電子プローブマイクロアナライザ(通称:TE-EPMA)では1~2μmの微小領域分析が限界であった。今回、FE-EPMAの導入により最小0.1μmまでの極微小領域分析が可能となることでTE-EPMAで不可能であった金属中の極微細析出層の分析に成功し、また接合界面における極微量酸素の存在を初めて確認した。

サブミクロン領域の分析技術を用いることで、国を挙げて開発が進められているナノテク産業やIT化が進む自動車産業における新機能材開発期間の短縮化や製造工程改善、自動車用鋼材の高強度化研究に対する技術支援を主体としたサービスの提供を実施する。

1.背景

従来のTE-EPMAは電子銃に熱電子放出型を採用しているためビーム径が十分に絞れない(最小1μm)ことから微小領域の分析には限界があり、また、極表層の分析もあまり得意ではなかった。これに対し、新たに導入したFE-EPMAは電子銃に電界放出型を採用しているため小さな光源(50nm)を用いることで、空間分解能が3倍に改善されている。これにより極微小領域の分析が可能になると同時に低加速電圧での分析となり、極表層(深さ0.1μm)の分析も可能になった。一方、超微細組織の観察には透過型電子顕微鏡(TEMが使用されてきたが、その観察領域は極めて狭く(FE-EPMAの100cm2に対し、TEMは数10μm2)、情報量が少ない上、観察試料の作製に多大な時間と費用(20~30万円/件)が掛かっていたためスピードアップ・コストダウンが図られるサブミクロン領域観察技術の開発が待たれていた。

2.特長

可能になった技術 効果
金属中の極微細な晶・析出物の分析 自動車用鋼材の高強度化(軽量化)の研究
異種材料接合界面の酸素挙動解析 接合技術の発展、鉛フリーはんだ技術の改善
極表層の元素分析 CVD、PVDなどによる薄膜製造およびメッキ技術開発

3.主なサービスの分野

    • 自動車産業の高性能鋼材開発
    • IT産業の記録媒体
    • ナノテク産業の新機能材開発

参考資料